優秀賞 「親と子の[よのなか]科」
川島奈保子 (041106・道下仁朗ゼミ・土佐女子高等学校)               → 著者からのお返事!

「よの中」のあらゆる事柄を著者の三室さんと三室さんの子供との会話で楽しく分かりやすく、読みやすく進められている本だ。何てことない日常生活の中でふと、不思議に思う事は誰にでもあるだろう。しかし、「なぜ?」と不思議に思っても、「なぜ?」を元まで追求することはほとんどない。そんな、日常的でよくある事を著者と一緒に「なぜ?」と疑問に思う事を一つ一つ考え、解いていく話である。

まず、このことを考えるには親と子の会話が必要だ。現代は核家族や個食など、家族がバラバラになり、一緒に同じ時間を過ごすことが少なくなっていると言われている。しかし、三室さん家は違う。お父さん(三室さん)が子供に問いかけを発し、その問いかけは子供に受けとめられ、「問いかけ」が深まっていくのである。それは、三室さんが主に食卓で「よのなか」科授業風にやっているそうなのだ。

「よのなか」科授業は、「世界でいちばん受けたい授業」という本に載っているそうなのだが、私はまだ読んだ事がないのではっきりとは説明しにくいが多分、『「問いかけ」「問いかけられる」総合的な学習の時間』だと思う。三室さんはそれを家でしているから、「よのなか」科授業の“家族版”だろう。決して、親が子供に対し、一方的に教えるのではない。一方的に教えてしまうと、子供は何の抵抗もなく聞いてしまうだろう。子供でなくても同じだと思う。「なぜ?」と疑問を持ち、それを素直に聞くことは小さいうちの方が出来やすい、なぜなら、歳をとるに従って、「恥ずかしさ」や「変なプライド」みたいなものが増えるからであろう。私も親に「分からないことや、疑問を持つことは恥ずかしいことじゃない。」とよく言われたものだ。しかし、さすがに全部が全部聞ける訳でもなく、分からないこともそのままになってしまったりもする。そういうことを少なくするためには、やはり小さい時に親が子供に対し、自然的にキッカケを作ってあげた方が良いだろう。私が三室さんを凄いなと思ったのはその事で、不自然ではなく自然に子供と一緒に「なぜ?」を追求していくかということだった。

この本のページをめくるごとに、「あっ、そんなんだったんだ」とか「こんなこと考えた事もなかった」とか驚くことが増えた。

三室さんが三七の題材で子供達に話しかけているのだが、まず最初に「なるほど」と思ったのが『パソコンのキーボードの配列』の話だ。私も小学校の時初めてキーボードを見た時「どうしてこんなランダムにアルファベットを並べるんだろう?」と思った事があり、その時は親も先生もあいまいな答えしか返してくれなかったので、今になり私は親に質問を投げかけてみた。すると答えは「この並びが使いやすかったんじゃない?」だった。十年前と同じかと思ったが、大人でも疑問をそのままにしておくのかと思えば少し気が抜けた。そこで、本の通りに「タイプライターの出始めにあんまり人が速く打ち過ぎて機械が追いつけないからわざとバラバラにしたみたい」と言うと、身を乗り出して私の話を聞き入っていた。分からないことや知らないこと、又、考えてもみなかったことを初めて知った時、人はどんな気持ちになるのだろう。私は何かキラキラした物を見た時の様な、感動といった言葉がピッタリな気持ちになる。

二つ目に驚いたのが、『スチュワーデスは必要か』という話だ。私は全く考えたこともない話だったのでなおさら興味が深かったし、「スチュワーデス」といったら女の子の憧れ的存在みたいな所もあり、私もそう思う。スチュワーデスは、美人で身長も高く、何より知的そうなイメージだ。だから、女の人も男の人もスチュワーデスに対し、変だと思う人はあまりいないだろう。しかしスチュワーデスの仕事といえば、飲食物・雑誌・新聞などを配ったり、毛布をかけてくれたり、又は安全に過ごすための説明をしたり、よくよく考えてみると「サービス」にしか過ぎない。それなのに飛行機代といったらかなり高額だ。北海道と沖縄を往復するだけで約九万円かかると聞いたこともある。三室さんはスチュワーデスの様なサービスはあまり必要ないと思っているそうだが、私も納得してしまった。世の中には、「顧客が望んでいるが、望んでないサービスが含まれている」場合や「あってもいいけどなくても困らないサービス」が数多く存在する。全てを否定してはいけないが、もう一度、必要なモノと必要でないモノを見分けなければなぁと考えらされた。

この本を読んでみて、「よのなか」の知らなかった部分や見えなかった部分が少しずつ見え始めた様な気がした。私がもし将来、家庭を持ち、子供を持てば、三室さんの様な子供との接し方をしてみたいし、これから子育てする人にもこういう接し方を薦めたい。

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