優秀賞 「愚問の骨頂」
宮田洸志(11073688・渡辺孝ゼミ・松山北高等学校)  

私は「愚問の骨頂」をタイトルとした本に興味を持った。そもそもタイトルの意味が分からなかったから思い切って挑戦してみようと思っただけかもしれない。読み終える頃には、自分の知識が深まったことを実感し、言葉の深さを考えさせられてしまい、とても良い勉強になった、というのが率直な意見だ。本の内容は、花粉症の解決法・ニュートンの奇想・メンデルの新鮮さ・院内感染の真の原因・医者との会話法・人生相談の愚かさなど、あらゆる角度から「問いの構造」を考えるものである。  

一番初めに、大学入試センター試験の問いをテーマにした文章に興味を持った。筆者は珍問・奇問としか思えないような問い、さらに重箱の隅をつくような問いしか並んでいない試験で、高得点をとった学生が優秀であると評価する日本の受験制度は、あまりにも問題が多すぎると思われる、と言っている。受験生である私や、周りの友達も同じ意見だと思う。しかし、高学歴を必要としている今日の社会を見ると、頑張って良い大学に入学したいために、試験で高得点をとるだけに、将来には不必要な歴史の年号や、生物の名前を覚えているのである。努力を人の倍した者が受験戦争に勝つのであろう。受験が目前としている今日、受験生は志望大学合格という目標があり、そのために日々努力をし、充実した日々をおくれていることであろう。筆者は、大学入試センター試験の世界史Bを「トリビアの泉」というバラエティ番組に例えている。よく考えてみたら確かにそうかもしれない。筆者は面白いとこに目を付けたな、と思った。

こうした大学入試の難問珍問は、テレビ番組のクイズに近い。筆者いわく、クイズ番組では『正解』がきちんと存在しているかというとこれもまた少々怪しいらしい。みのもんたが司会の「クイズ$ミリオネア」でそれは起こった。私は、この本を読むまで、みのもんたが、「残念」と言うのは全て、答えが間違っているものだと思っていた。問題を作る製作者の知識不足で、答えが四択の中に2つあったりしているのだ。これで、みのさんが長い沈黙をつくって「残念」と言うものの、実際答えが当たっていたとしたら、一生懸命演技をしたみのさんが可哀想である。この本をきっかけに、良い意味でクイズ番組を疑うようになった。言い換えれば、自分の知識を深めたいということである。

毎日にように、切実な質問が次々と飛び交じっている建物のひとつが病院だろう。「私は助かるのでしょうか」「がんじゃないのでしょうか」等々、いずれも大切な命に関わる質問である。しかし、質問とは別に、「愚問」も多数存在しているのである、と筆者は言う。これもまた私が今まで考えたこともなかったことが、この本によって深く考えられることになるのである。この本は楽しい。最近日本中の病院で、医療ミスや医療事故が多発している。大きな原因に普段から使っている日本語がとても曖昧だということらしい。医者と患者のコミュニケーションが上手く伝えられていないということであろう。医者が日常的に使っている「しばらく、もうすこし、とりあえず」といった言葉をよく耳にする。みなさんも自分が病院に行った時を思い出してほしい。必ず耳にする言葉であろう。この曖昧な言葉は人それぞれによって言葉のとり方が違ってくるのは当たり前である。だから、医療ミスや医療事故が多発するのである。医者は、患者に具体的な数字をあげるべきで、患者はしつこく質問するべきだと私は思う。

この本と出会い、深く考えたことのない「問いの構造」をあらゆる角度から勉強できた。いろいろなテーマがあり、飽きることなく楽しく読むことができ、その上、自分のためになる内容が多いことが、この本の言い所である。一度だけでもこの本に目を通すと、病院での会話法や、花粉症の解決法など、身近で起きることをあらゆる角度から考えられるようになる。ぜひ読んでみてはいかがだろうか。

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